スパイスと香辛料は、同じものをさす言葉です。
英語と日本語の違いで、アップルと林檎の違いと同じです。
スパイスの歴史は非常に古く、私たちの食を豊かにするという目的より先に、食への安全や健康目的として活用され続けてきました。
スパイスは食品が腐敗したり臭みを放つのを防ぎ、今のように食が豊富でなかった人間の暮らしを支えるのに欠かせない存在でした。
古代からヨーロッパではシルクロードを伝ってスパイスを運ばせ、中世から近世にかけては危険な海を旅してまでアジア諸国からヨーロッパへとスパイスを輸入していました。
スパイスの利用が一般化すると、食を豊かにするアイテムとしての一面が強まり、どんどん身近な存在となっていきました。
ハーブはラテン語から由来しており、単純に草や葉っぱを意味する言葉で、日本語では薬草や香草と呼ばれています。
ヨーロッパでは伝統的なアイテムで、植物を料理や医療目的など、生活に幅広く活用され、アメリカ大陸の開拓がはじまれば新大陸にも広がり、世界各国にハーブの存在が広まっていきました。
宗教的役割と一緒になることもあり、魔よけとして珍重されることもあります。
現在ではハーブ独特の香りの正体であるエッセンシャルオイルの活用が一般的ともなり、アロマテラピーにも利用されています。
ストレス社会とも言われる現代では、ハーブといえばリラックス効果が得られるアイテムとしてのイメージも強まっています。
スパイスと香辛料、ハーブの違いと共通点について
スパイスとハーブは別物か、または同じ物かという答えは、実は曖昧です。
スパイスやハーブに関係した検定資格はいくつもあり、両者の違いと共通点を理解することは重要な要素のひとつのため、ある程度の分類は行われていますが、明確に違い分けることはできていないようです。
スパイスとハーブの呼び方の違いから考えてみると、スパイスは調味料として扱われる植物で、粉末等の加工を行い、食べ物に風味や香り、刺激、色などを与える調理補助食品とすることができます。
根や茎、実、樹皮、葉など、様々な部位を使用します。
ハーブは料理以外でも活用される一面を持つもので、スパイスの一種としてハーブがある、またはスパイスよりも多様性があるのがハーブとも言えます。
葉の部分を利用することが多いのはハーブの特徴です。
二つの違いは生産国の違いと歴史的に見ることもあります。
古くからヨーロッパではハーブが活用されていましたが、スパイスは遥か遠くの植民地から運んでくる貴重な存在でした。
そのため、自国で生産されるものはハーブ、自国以外から運ばれてくる刺激の強いものをスパイスと呼び分けたともいわれています。
どんな区別の仕方にしても、スパイスもハーブも食や生活を支える、植物由来の自然健康成分ということは共通しています。